各要所における建材の老朽化に伴い今後の安全性、利便性を考慮に入れ、新築工事計画を進めています。
新しく設えた仏具が内陣に設置されました。最奥の旧本堂より運び出した宮殿(くうでん)は綺麗に修復・塗装され、再びご本尊である『延命地蔵菩薩』が安置されています。
内陣の左にある脇部屋も玄緋色が目を引く造りになっています。
旧本堂の須弥壇を解体した際、同じく旧本堂の組物にもあった大工棟梁の名が出てきました。調べてみると徳恩寺の過去帳にも記録があり子孫の方に確認も取れてお檀家さんだった事が判明しました。
その須弥壇も再度組み立てられ綺麗な塗装を施していただき、今度は新本堂正面に設置されて一般参詣の方々が礼拝される前立仏が安置されます。
その周囲には同じく旧本堂の仏具が配置されました。両端上部には獅子と麒麟の彫刻があります。この麒麟は頭が龍で身体は馬、または蹄のある龍とされる霊獣です。
現在、昼の12時と夕方の6時を梵鐘の音でお知らせしているので、鐘楼堂の鬼瓦は時を告げる「ニワトリ」となっています。
片方は時間を告げる為にくちばしを開き、もう片方は告げ終わって閉じた姿です。参拝、墓参の折など見比べてみて下さい。
向拝の屋根、唐破風棟鬼飾り(からはふむねおにかざり)です。
鳳凰を粘土で成形した段階で首のひねりの角度や羽根の表現等を調整していただきました。
参拝者の方々を上から覗き込んでいるような躍動感溢れる姿になっています。
梵鐘を撞く為の撞木(しゅもく)を奈良の「上田技研産業株式会社」さんに取り付けていただきました。
自動と手動の両用型です。
試験的にお昼の12時、夕方の6時に鐘の音が響きます。
鐘楼堂が出来上がっていく途中で中央に納められた梵鐘を人力で吊り上げていただきました。
屋根の垂木は多数の木材を放射線状に配置した「扇垂木(おうぎだるき)」で、一本一本の垂木が異なる菱形で構成されており中心から外側に向かって更に形が変化しています。その上、軒反りとなっているので近くからだと垂木の断面や長さ、捻れ度合い等一本ずつの違いが見え、下から見上げると扇状の造形美が眺められます。
新本堂正面の「向拝(こうはい・ごはい)」の屋根が出来上がっていく様子です。中央部分のみ屋根が前方に張り出しており参拝の為の場所となります。
屋根の形状は「唐破風(からはふ)」と言う破風の一種です。頭部に丸みを付け、左右両端は曲線状に反っているのが特徴で日本特有の建築技法となります。銅板や瓦を使うのが一般的ですが、全体の瓦屋根との調和を考慮してチタン製になっています。強度が高い為、曲線加工が大変難しい反面、軽さや耐熱性、錆びにくさに突出して優れている素材です。
新本堂完成後、通常参拝の際はこの場所で手を合わせて下さい。