各要所における建材の老朽化に伴い今後の安全性、利便性を考慮に入れ、新築工事計画を進めています。
今年の2月の「主棟の大鬼・1」でお知らせしました鬼瓦が焼き上がりました。「阿形」の眼球に浮き出た血管など、それぞれ細部の違いが表情を豊かにしています。
一番下の二枚は新本堂の屋根に取り付けた際、「大鬼」の上に付く「鳥衾(とりぶすま)」をあててみた画像です。(実際はここまで突き出ません)
新本堂屋根、最上部となるT字型大棟で正面両端の「大鬼」部分に取り付けられる巨大な鬼面の瓦(粘土での成形段階)です。
鬼瓦は魔除け、厄除けとして霊所を守り邪気を払うとされています。
全長約八十センチあるこの鬼瓦は拝殿正面から向かって右側に「阿形」を、左側に「吽形」を配します。
本堂階の下階のはコンクリート部分もあるので、「木鼻」は統一感を持たせる為にあらかじめ木製の型を作り、そこから製作ました。
GRC(耐アルカリ性ガラス繊維で補強したセメント)に「ガラス」と「石」などの別素材の組み合わせで出来ている「木鼻」です。
長く突き出た軒を支える為、屋根の内部から勾配に沿って差し込み、軒先を支える部材を「桔木(はねぎ)」と言います。
通常は「垂木(たるき)」で軒先を支えていますが軒が深い寺社建築ではテコの原理を利用し「桔木」で軒先をはね上げるようにして重量を支えます。
裏甲(うらごう)の上に直角に乗せ、材料を短手に用いて木口が正面に見えるように使う部材を切裏甲(きりうらごう)といいます。
木口が白く塗ってあるので、二枚目は材木の境に赤線で画像加工してあります。
新本堂の屋根の垂木(たるき)です。
連続的に並んでいる間隔が垂木の「背」(断面の長い方)の寸法分なので「背返し(せがえし)」と言います。
密に配列されている比較対象として、二枚目の画像は客殿横の寺務所の垂木です。
四枚目の画像、何十本もの垂木の連なりで新本堂の「反り(そり)屋根」の形状が伺えます。
垂木より下部、軒の荷重を支える斗栱(ときょう)部分の「支輪(しりん)」……斜めに立ち上がって並列している湾曲した縦材……は緑青色の予定です。